過去が過去になる時~日本仕事百貨のこと~

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はじめに

いつもご覧いただきありがとうございます!

今回は私の身の上として、直近で新卒の就活を振り返った話をしようと思います。

このブログでも何回か話題に出している通り、私は新卒の就活がかなり難航していました。

そして先日のMaiさんとの対談を収録する中でふと「就活って私の中で正直まだ未消化だよな?」と話しながら感じたのがこの記事を書いたきっかけです。

なので完全に内容としては情報ではなくエッセイのそれなのですが、

過去を振り返るには時間がかかること。

過去にとことん自分の尺度をあてる時があること。

その時受け取れなくても後から受け取れるものもあること。

そのようなことを学ぶ体験をしたので、記事にしてみました。

今回取り上げる日本仕事百貨さんのHPはこちらです。

トップページ - 日本仕事百貨
世の中には、いろんな生き方や働き方をしている人がいます。日本仕事百貨は、そんな人たちを紹介する求人サイトです。コラムやイベント、買いものができる機会もご用意しています。あなたが気になる”生き方”をみつけてみてください。

日本仕事百貨との出会い

「君みたいな子は、すぐには納得しないだろうから。実際に色々触れてみるのがいいと思う」

就活の末期、とある会社の面接官兼社長にそう言われたことがありました。

そうして彼が勧めてきたのは、日本仕事百貨というサイト。

「君をウチで雇うことは出来ないけど、面白いサイトだからぜひ見てほしい。何か前に進むきっかけになればいいと思う」

今から思うと、それこそ冒頭の社長の言う通り、実際に触れて、かつ全体像を把握し、かつ自分が興味のあることに対してしか前に進めない私が、いわゆるフツーの就活でうまく行くことはないのです。

そりゃまあ、やってみなければ分からない案件ではあるのですが…。。

新卒もすなる就活といふものを、我もしてみむとてするなり。いちおうやることはやった上で、「学ぶものも残るものも無かった」という身も蓋も無い感想だけが残りました。

そもそも、就活の一連の流れに対して終始これは何のためにというスタンスだった私です。配属される職種も分からない上(分かってる求人もあるけど)、実際の仕事と因果関係があるのかもわからないバイトやサークルの話をさせて何になるというのか。

第一印象が地味でも打ち解けたら面白い人なんていっぱいいるし、面接の出来は実務面のパフォーマンスも保証しない。

しかしそういったことをそのまま伝えるのがコミュニケーションとして間違いであることだけは分かっていました。「こんなこと」考えている人なんて他にどこにいるんだろうと頭をよぎると、黙るのが一番なのだろうな、と思うのが当時の関の山でした。

結局、私は大学受験の時に周囲との勉強への取り組み方の違いを疑問に思っていた頃と同じところで立ち止まっていたように思います。

話を戻します。

とにかく、「君はそういう子だと思うから」と言ってくれた社長には、面接こそ通らなかったもののなにか一人の人間として自分を見てくれる眼差しを感じたのです。

せっかく勧められたのだからとりあえず見てみるかと思いつつ、当時の私はサイトを開くと動悸がしてしまい、そのままそっ閉じしてしまいました。

というのも、当時の私には心の余裕の欠片もなかったものですから、

これ以上知らない誰かに会わなければいけないのか。

これ以上新たな場から「何かを学んで」「前に進まなければ」いけないのか。

という思考に陥ってしまっていたのです。

こういう時はもう休む一択です。これが今の環境からいったん離れようと思うきっかけの1つになりました。それからあまり遠くもないタイミングで私は一月強海外旅行に出かけ(元々航空券をとっていたのです)、そこでようやく本格的にメンタルを回復しました。

そしてその後の面接でなんとか内定した会社に入り、転職を経て今に至っています。

しこりになった過去に対して出来ること

しかし、引き合いに出すのも恐縮ですが、時が流れてもどこかで自分の就活は災害や戦争と同ベクトルのトラウマ体験だという体感は抜けませんでした、

いつまで経っても無力で、被害者で、過去が過去になっていないとでもいいましょうか。

心への負荷の大きさがある閾値を超えた時、時薬は機能しなくなります。

温かい言葉は右から左に受け流され、厳しい言葉だけがそのまま胸に突き刺さるような心地でした。

もちろん友人たちも心配してくれるのだが、いわゆるNNT(無い内定)状態に陥ったことの無い時点で寄り添うにも限界があったし、当然のようにかわいそうだと思われるのもまたいたたまれないものでした。家にも帰りたくなく、どこにも居場所がなかった記憶があります。

しかし、それらは全て本当にそこから得るもの1つない経験だったのか?

本当にまだ検討しきっていないのか?

その問いに対する今までの回答は「本当に何もない。災難だった。」というものでした。

しかし、今回は、あれからまだ日本仕事百貨を見ていないな。見たら何か思うことがあるかも。と思ったので先日サイトを訪問してみました。さすがに動悸はしませんでした。

日本仕事百貨には、日本の様々な場所でやっている町おこしや伝統工芸品の跡継ぎ、それらの管理運営などといった様々な案件の載っている求人サイトです。

記事を読むと、それこそ都内の企業で働いていた人が一念発起し、地方に移住し仕事をしているという事例も少なくないことが分かります。

しかし、白を基調とした小綺麗なサイトの文章は、求人というよりむしろブログやサービスの宣伝といった感じのそれ。求人としての情報は末尾に記載されており、記事がやわらかな印象を持たれることを大事にしていることが伺えます。

興味を持ったら担当者に連絡が行き、サイトの文章には記載されていない大変なこと等も十分話した上で検討してほしい、と書いてあります。

求人形態も正社員から契約社員、アルバイトやインターンなど様々。

文中にたびたび出てくる、一度は社会人になった人が色々考えた結果第二の人生のような感じで仕事を変える様は、新卒の時に見たらずいぶん年上の人がやっているもののように見えたことでしょう。

そして、どの求人にも共通していたのが、携わる人がみな「本物の質感」や「一部ではなく一連の流れを理解すること」「実際に触れてとりあえずやってみること」を重視しているということでした。人によっては資本主義の限界を説いたり、とにかくマイナビやリクナビの求人とは様相を違えるものでした。

そうして画面をスクロールしていくと、涙がボロボロ出てきたのです。

ああ、「こんなこと」考えているの、私だけじゃなかったんだな。

あの時の社長はきっとこの事を伝えたかったのだろうということに、数年の時を経てようやく腹落ちしたのです。

その次に思い出されたのは就活中に温かく接してくれた人たちのことでした。

OGOB訪問や就活相談アプリで出会った50人は超えるだろう方々の言葉や行動は、あいにく当時の自分には当たり判定の出るものではありませんでしたが、彼ら彼女らなりのやり方で私の事を応援してくれていました。人に会わせてくれたり、食事を何回か共にしてくれた人もいました。

不思議なことにこちらが「感謝しなければ」「とりあえずありがとうございますと言うのが礼儀だろう」などと思っているうちは、そういった施しも右から左に行ってしまうのだということも分かりました。

出来事は、起きたその段階では自分のものになりません。

特にものの感じ方や考え方、社会的立場などでいわゆるマイノリティとされる人間にとっては、一度時間が経ってから、もうその出来事が実生活に影響を及ぼさない段階になってからあらためて自分で咀嚼する時間を要するものだと思います。

それは正に今私がこうしてこの文章を書き、それをブログという場で人に見てもらうことで現在進行形で過去を本当の過去にしていっているように。

一般論や常識を抜きにして、過去に起きたことについてとことん自分の尺度をあててみる。

自分にとっての快不快だけに焦点をあてていくと、努力で変えられない輪郭のようなものがいつか見えてきます。

周囲に一生懸命合わせようとしている人など、内在している一般論とか自分を責める思念体みたいな存在にも気付かされることもあると思います。

そんな自分を良い意味で諦める…諦めるという言葉の語源は「明らむ」、つまり明らかにするというものらしいですね。

生きていれば、周りをはらはらさせることも、感謝の念を伝えるのがしんどい時も、謝罪した後に胃痛が止まらないことも、もう許してあげてと言われても皆目許せない時もあります。

だから、そんな時私たちは一人になり、自己を明らめる時間が必要なのでしょう。

それは仕事に限った話ではなく、世の中や他者と向き合うためにすることです。

おわりに

この文章を書くにあたり、実は私は日本仕事百貨の運営会社の方に問い合わせフォームから上記の文章の確認をお願いしていました。企業が提供しているサービスに関し、一個人がどこまで無断でブログにしていいかのさじ加減が分からなかったので…。

すると、掲載は個人の意志を尊重するという回答に加え、文章の感想や弊媒体のお墨付きという見え方をしない方がよいかと思いますというところまで言及された非常にありがたい返答をいただき、こうしてアップすることができました。

なので、この記事はPR案件などではなく本当に一般人が自分からお客様アンケートをネットの海に流しているようなものなのだ、と最後にお伝えできればと思います。

この記事は以上となります。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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