はじめに
今回の内容は、脳内思考を文章化することについて。
以前twitterで以下のツリーをのせたところ、様々な方から「自分もこれに当てはまる!」「わが子も沢山本を読むけど作文は苦手です」といった反応をいただきました。
本当に活字がキライならいざしらず、むしろインプットや思考は人一倍するのに、なぜ「書けない」んだろう…?
そんな、言語が他の指標と比べて凸である場合など、「なかなか言葉が出てこない」「日々の読書量の割に作文ができない」といった声について、私自身の肌感に基づく内容と対応策を書いていきます。
原因1:受け取る情報量が多すぎる×完璧主義
まず、そもそも同じ場所に置かれても多くの情報量を受け取る頭をしているのではないか?というのが原因として考えられます。
自分が実際に触れた事に対して、多くの情報が入ってくる感覚があるのです。
特に印象深い出来事でなくても、正直そこまで覚えていなくてもなー、という感じです。 細やかに覚えているとも、脳内で情報の取捨選択ができていないとも、どちらにも表現可能ですね
このような場合、自分の思った事を書きましょうと言われると、
・まだ「言語化されない何か」を認知する
・諸々を言語情報に置き換える
・内容の並び替え
・筆記作業(PCの場合はタイピング)
という流れを汲むことになります。この時、認知する情報量がそもそも多かったり、一般的な画質と比べて明らかに解像度が高いと、データ量が変わるのです。。「何か」の質量が多いと、当然言語化に要するエネルギーも多いのです。
例えば、同じ絵を見ても「妹は青いコップから水を飲んだ」と認識する人と「普段おろしている髪を珍しくポニーテールにした妹は、いつもは使わないシーブルーのガラスのコップから水をゴクゴク勢いよく飲んだ」と認識する違い、とでもいいましょうか。今回、この文章を例として何回か取り上げます。
どちらが良い悪いではなく、人は自分が感じたことで世の中を知覚しますから、後者よりの解像度で世界を生きるタイプはどうしても自分の感覚をパッと言葉にする負荷がかかりますよね。
そして、ここで完璧主義が働くと、自分の感じたものについて、ニュアンスを確実に表現したい!となる。もしくは質問のされ方が雑すぎると方向性もわからなくなる。 ここで頭がとっ散らかるケースが多いのだというのが個人的な見解です。
「普段(略)」という感じ方をする人にとって、その説明を「妹は青いコップから水を飲んだ」で済ますというのは、「いや・・・わかるよ・・・わかるんだけどさぁ・・・なんか足りない・・・」みたくなってしまうんですねぇ。。。そして一般的にはそれをこだわりとか言われてしまうことも。無慈悲。
原因2:同時処理
認知特性の継次処理・同時処理も関係するように思います。
ざっくりと、以下のような意味合いを持つ考え方です。
継次処理:順序立てて考えたり、時間の流れに沿って考える力
同時処理:複数のことについて同時に考えたり、関係性や規則・ルールを見つける力
どちらが得意かは人によるのですが、大枠を把握して段々詳細をつめていく同時処理タイプの頭の場合はけっこう「文章の出だしが分からない」となりがちです。
脳内に「普段おろしている髪を珍しくポニーテールにした妹は、いつもは使わないシーブルーのガラスのコップから水をゴクゴク勢いよく飲んだ」イメージがあっても、書き出しを髪からにするのか、妹にするのか、ガラスにするのか、みたいなところで結構分からなくなったりするのです。
また、WMが凹な場合などは頭に浮かぶイメージの量>>>それを一時的に脳内にとどめる力という構図になることも多いと思うので、せっかくの良いアイデアや言い回しが浮かんでは消え浮かんでは消えしているのかもしれないです。そのニュアンスを詳細に伝える!というのは難しいですし、実際そこまで細かく説明する必要は現実問題あまりないことも多いですね。
対策
ここまでは「なぜあんなに読むのに文章が書けないのだろう?」ということの原因について考えてきました。以降はその対策として考えられることについて書いていこうと思います。
まずは自覚。
・情報は、感じた時点ではまだ「モヤモヤした抽象思考の集まり」でしか無い
・↑は自分の頭で言語化される前の解されていない状態であること
・↑が頭にあるとモヤモヤとした感覚であり、そもそも自分にとってはよくある現象だという自覚
ということを踏まえると、「あ、今思考が自分の中で渦巻いているな」「これはパニックではなく渋滞だから、いったん全部吐き出してみよう」という次のステップに移れます。
次にマインドマップ。
拾い画で失礼します。マインドマップで検索すると、このようなものが出てきます。
使い方としては、まず真ん中に超絶要約した文章(肌感)を置きます。今回の例ですと「妹は青いコップから水を飲んだ」を真ん中に置きます。
そこから、「妹」の部分から線を伸ばして「珍しくポニーテール」とか、「青いコップ」の部分から「ガラス」「シーブルー」みたく足していくのです。
そうすると最終的には全要素の書き終わったマップができます。マップに書き終えると全体像を視覚で把握することができるのも大きいですね。ここで自分の中でも点と点が繋がり、知覚できる情報になるという人も多い印象です。絵が描ける子はイラストを添えても良いかも。もちろん、頭がどんなに思考で吹きすさんでも紙に書いていればモーマンタイ。
それらの順番を考えて、文章にして・・・
「普段おろしている髪を珍しくポニーテールにした妹は、いつもは使わないシーブルーのガラスのコップから水をゴクゴク勢いよく飲んだ」
のできあがり!です!!
ここまで読んでお気づきになった方も少なくないのでしょうか。すっごい面倒な作業だ…ということに。ええ。ギフテッドならびに脳デカ族などなど、さまざまな呼び方があるかと思いますが、言語凸というのはアウトプットにこの処理を経る人生なのです…。
(完璧主義の結果遅くなるケースは抜きで)処理凹の場合などは特に顕著で、この作業は本当に大変だと思うのです。なんせ脳内思考量>>>書字速度だと思うので。そして、喋るという行為はこの文章に落とし込む手間抜きに行われる行為なので、思考が早ければおのずとダーッと出てくることができるのではと見込んでいます。
マインドマップ以外ですと、いったん何も考えずにガーッと要素を箇条書きにして、その後追加するとか、レポートなど分量はあるけれど型が決まっているような内容は型で覚えるとか、やりようはあります。正直、界隈に限らず人の思考は書くよりずっと早いです。箇条書きの場合、PCでのタイピングの方が早くできる場合大分楽になりそうですね。
もっとも、一般的にはそこまで思考の吹きすさぶ人たちだけで世の中できていないですから、当たり前のように
「妹は青いコップから水を飲んだよ」「へーそーなんだ」でその場が終わるのです。
でも、「青い」の脳内検索でターコイズ、ロイヤルブルー、セルリアン、紺色、藍色、スカイブルー…みたくなってしまう人はそうはいきません(近しい内容のツイートを見た気がします)。いったん思考の広がりを抑えて「青いね」と言える人もいますが、実はほんのちょっと力を使っていることですし、本人の中でも自分の思考の形が外に出きっていない感覚を覚えるように思います。
おわりに
もし上記のようなケースに当てはまる場合、まずは一度に感覚全てを言語化するのはムリなこと を把握した上で、
・感じること
・書き出すこと
・順番を考えること
はそれぞれ別作業であることを意識するとやりやすくなるのではないかな、と思います!
脳内の思考をうまいこと言葉に落とし込むやり方について。 継次処理的に時空列ごとに書くのが向く人、同時処理的にまず全体感を書き出して視覚情報として把握してから細かい部分を書くのが向く子…色々いるハズです。マインドマップはいいぞ。それ以外でもいろいろあります。
で、元々解像度が高い情報の取り入れ方をする人は、やはり「調節」ができると生活全般がぐっと楽になる気がするのです。今回書いたような「調節」はテクニックなので、少し練習の必要はあるかもしれませんが、それに見合うものはきっとあると思います。
では、今日はここまで。
いつも読んでくださってありがとうございます!